故長岡鉄男氏設計バックロードホーン

    D-58製作記<第2弾>


前置き
  以前に作ったD-58は、行き付けの音楽喫茶のクラシックホールでご機嫌な音を鳴らしているが、モアを置いているジャズホールにも一組置きたいとのことで再び作ることになった。今回は、D-7から外したユニット(FE208Σ4本)を使うことにしたが、「2本余るのでもう1組を作って、それを私の家に置いたら・・・」という話になって、同時に2ペアーのD-58を作る事と相成った。(困ったことに、スピーカーが既に沢山有り過ぎてこれ以上置く場所がないのだが・・・。)
 この前のメンバー2人に協力を得て正月休みを製作日と決める。年末にスピーカーBox 4本分の板(ラワン合板16枚)を寸法どおり切ってもらい、年末から一人で組める所から製作に取り掛かる。
  音楽喫茶に置くものと、我が家に置くものとは基本的には同じ設計なのだが、私の分は長岡氏の設計を一部変更したので、以後の紹介は、私のスピーカーの製作行程を記している。
製 作
  4本のエンクロージャーを可能ならば1日で組みたいので手早く進めたいのだが、外から見える部分は木ねじや釘を使わず、木工ボンドだけで貼り付けていく。
  16枚ものコンパネから切られた各パーツの枚数はたいへんなものだ。2人が組み立て作業を行い、私が段取りにまわる。
 パーツに番号を付け、 まずバッフル周りの組み立て作業から始める。音道部のパーツが出来上がると、側板に並べ、パーツとパーツを順番に接合していく。作業は順調に進む。
  側板に音道部を貼り付ける前に、側板に組み終えた音道部を一旦マーカーで形を写し、ドリルで木ねじの穴を開ける。側板と音道部に隙間が無いか確認して、木工ボンドと木ねじで貼り付けていく。

側板を貼ると、スピーカーBox らしくなった。最後に底板を二重に張り付ける。前作のD−58を大音量で鳴らすと、側板や天板はあまり振動してなかったが、裏板が予想以上に振動していたので外からも補強板を貼り付けて組み立ては終了した。
   出来上がった外観は、ホーン開口部の放物線が予想どおり綺麗で、且つ側板の角を面取りを施したため、手前味噌だが自作のBOXにしては良い形に纏まった。BOXの仕上げは木の質感を生かすためニス塗りをする予定だったが、階段状のホーン部の僅かな隙間を木工パテで修正したため、急遽ニス塗りからペンキ塗り(色はミルキーホワイト)に変更。

 <参考に>

 @    このエンクロージャーとモアに限っては、2人以上で作業をするほうが捗る。
 A    面取りする場合は専用かんなで一気に削る。
 B    合板の木口の処理方法の一つとして、経済的に済ませる場合は木口をペーパーで平らに
        ならした後、布に水で少し薄めた木工ボンドを染み込ませて、木口に刷り込むように塗る。
        乾いたら再
   度塗り、3度ほど繰り返すと塗装が上手く乗る。手っ取り早く処理したい場合は、サーフェイ
        サーを吹き付ける。
 C    大きな凹凸は木工パテで埋め、小さい凹凸はサーフェイサーを吹き付けると表面は綺麗に
        仕上がる。
 D    とことん綺麗に仕上げたい場合は、塗装前の表面処理を万全に済ませて、サーフェイサー
        を全体に吹き付け、1000〜2000番のペーパーで丁寧に削ってからスプレーで吹き付ける
        と芸術品のように仕上がるが・・・・。

使った材料と工具(1組分)

ラワン合板(厚21mm)8枚、グラスウール、速乾木工ボンド、木ねじ、マーカー、水性塗料、サーフェイサー、木工パテ、電動ドリル、電動サンダー、電動ドライバー、ハンダこて、ハタガネ、平かんな、面取り用かんな、塗装用刷毛、T定規、スケール、仮止め釘、紙やすり(60〜1000番) など。

 

  側板に貼った音道部の開放部に、この階段の板をハタガネを使って接着する。
  上下の階段部を張り終えると片方の側板を木工ボンドと木ねじで貼り付け、更に外側の側板を木工ボンドのみで貼り付ける
  設計変更の箇所はホーンの開口部。長岡鉄男氏の設計では、底板に3枚の板を立て小石を入れて階段状にするが、この部分が私には無粋に見えるので、余板を綺麗な放物線の階段に貼り付け、よりホーンらしく見せる。
バッフルと裏板部から順番に組んでいく
裏板にターミナルと配線を施す
音道部のパーツを木ねじとボンドで繋いでいく
音道部を正確に合わせ側板に張り付ける
ホーンの開口部を放物線に組んでいく
外側の側板は木工ボンドのみで貼り付ける
(重石に片方のBOXとハタガネを利用する)
  組み終えたBOXは一人ではとても運べないほど重量がある上に塗装が乾きにくい時季のため塗装仕上げに予想以上に手間取り、作り始めて1ヶ月もの時間を要してようやく完成した。
組み終わったD-58のエンクロージャー
塗装前に角をかんなで面取り処理を施す
下地は刷毛で、仕上げはスプレーで吹き付ける
完成したD-58のエンクロージャー
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左からTQWT、D-58、スーパースワン
塗装が終わったエンクロージャーにユニットを取り付けて完成
D-58を鳴らす
 このスピーカーの印象は、バックローデッドホーン特有の鳴りっぷりが良く、音も良いが、意外にも中低音がやや薄め。能率はかなり良い(100デシベルはあるだろう)。
  片チャンネル300Wのパワーアンプで鳴らすと少し厚みが出るが、120W程度の普通のアンプでは低音がやや薄めになる。一概にアンプのパワーの差ではなくアンプの音つくりの違いとも思えるが、普通の音量時のピークレベルを見ると僅か0.5W位しか針が振れていない。最近、S氏に借りた出力1Wの真空管アンプで鳴らして驚いた。なんと、分厚い音でしっかり鳴るではないか。特にボーカルは艶が乗り最高に良い。ボリューム9時で普通の音量になるし、刺激的な音は全く出ない。このスピーカーの直線的な音と高能率が幸いして、真空管アンプとの相性が良いようだ。
  真空管アンプに灯を入れ、レコードを廻し、バックローデッドホーンで聴く・・・・。ジムランやアルテックA-7の時代、あの懐かしい良きアナログ時代にタイムスリップ(後戻り)するのもいいかも・・・・・。
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