弥 山
(標高1895m)
 八経ヶ岳
(標高1914.9m)


         平成19年7月1日(日)

  


   梅雨の時季、近畿最高峰の八経ヶ岳や明星ヶ岳付近には美しく気品のある花大山蓮華(オオヤマレンゲ)が咲く。その八経ヶ岳へ最も短時間で登るコースの行者還トンネル西口の登山口には、この季節は特に大勢の登山者が詰めかけ、駐車場は早朝から満車状態である。今回は、今月下旬に東北地方の山のまとめ登りを予定されている元上司のグループ(目標:日本100名山)の足慣らし登山に誘われ、計6人のグループで大山蓮華が咲く弥山と八経ヶ岳へ登ることになった。


   弥山への取り付きから奥駈出合(大峯奥駈道)までの急な直登コースを避け、比較的傾斜の緩く、且つ涼しい沢沿いのコースを登る。沢沿いコースは登山用地図には記されていない地元の人のみが知る道だが、徐々に登る人が増えてきている感じだ。


   しばらく沢の音を聞きながら緩やかに登る。足元にたくさんの白い小さな花が落ちている。周囲にはヒメシャラの木が所々で見られ、この花(別名:夏ツバキ)の季節も終わりのようだ。登山道はジグザグに付けられていて、石楠花の木が多くなり上部が空けてくると傾斜も緩くなって、山上ヶ岳から弥山に延びる奥駆道出合に着く。

 

   真新しい道標があり、丸太ベンチが据えられている。直登コースを登ってきた先客が、どのコースを登って来たのかと地図を出して聞いてこられた。直答コースの近くで私たちの声が聞こえるので、不思議に思ったのだろう。
   少し休憩して弥山への稜線を進む。急な登りのない比較的楽な道で、しばらく進むと石休場ノ宿跡、更に苔むした倒木や岩の登山道を登りかえすと弁天の森(標高1600m)である。周辺は自然林の中で展望はなく、三等三角点が埋まっている。いつもなら直ぐ北にある岩の上からは、大普賢岳や山上ヶ岳への稜線が見えるのだが、今日はガスで見えない。


   ここから、しばらく緩い下りになり、右手前方に鉄山が同じ高さで見える。周囲には、まもなく花期を迎えるバイケイソウやシダが繁り平坦な快適な道が続く。やや開けた広場から本来見える筈の弥山や八経ヶ岳も今日はあいにくガスに埋もれていた。弁天の森から約20分で理源大師像が鎮座している聖宝ノ宿跡に着く。往時を忍ばせる地名が残されていて改めてこの山域が信仰の山、修験道の修行の道であることを感じさせられる。

  

   聖宝ノ宿跡から再び登り道になり、つづら折れの長い道が続く。木々の隙間からは特徴のある大普賢岳が見える。大峯奥駈道が世界遺産に指定され登山道も随分整備された。修験道(山伏)の道に似つかないような気もするが、足場の悪い個所に付けられたこの木製の階段は段差が小さく幅もあり意外と歩き易い。


  大台ヶ原方面が見渡せる所まで来ると、弥山小屋の発電機の音が微かに聞こえてきた。立ち枯れのトウヒやブナの木々の間から弥山小屋が見え、ようやく急な登りから解放される。小屋周辺にはベンチとテーブルがあって、大勢の登山者が休憩している。

   弥山山頂へは、小屋の前を通り過ぎ栃尾辻への分岐を右に進むと直ぐに着く。広い山頂(標高1895m)には天河辯財天社奥宮が鎮座する。
   昼食を済まし、お目当ての大山蓮華群生地の八経ヶ岳へ向かう。

 
    一旦弥山小屋の前まで戻り、八剣山(八経ヶ岳の別名)と記された道標の前を右(南方向)に折れる。苔生した道からやや足場の悪い下り道を下る。正面に八経ヶ岳が見える。天然記念物オオヤマレンゲ自生地の表記がある広い鞍部まで下り八経ヶ岳へ登り返す。
 
   鹿避けフェンスに設置された扉を開けオオヤマレンゲの保護地区へ入る。オオヤマレンゲは一時期、鹿の食害で壊滅状態になっていたが、鹿の進入を防ぐ保護フェンスを設置したことによりフェンスの中に限っては元の状態に戻りつつある。
   残念ながら、肝心のオオヤマレンゲの花はまだ蕾で、1週間から10日ほど早かったようだ。

      

  梅雨の時期にひっそりと咲くオオヤマレンゲは、別名「天女花」と呼ばれているが、この大峰の深山で発見、命名された美しい気品のある花である。 

 
   

  
                  大山蓮華(オオヤマレンゲ)                                    八経ヶ岳


    八経ヶ岳山頂(標高1914.9m)は狭い山頂で、登山者であふれる。あいにくの曇天で、隣の弥山も時々ガスの切れ間に見えるだけで周囲の山々は全く見えない。天気が良ければ弥山の向こうに大普賢岳、東方向に大台ヶ原、南方向に仏生ヶ岳、釈迦ヶ岳、七面山東峰が一望できるのだが。


   思い思いに記念写真を撮り、下山にかかる。

   弥山からの下りで、中高年の団体が列を連ねて登って来られた。時間は午後2時を過ぎようとしている。どこかの旅行会社が募集したツアー登山のようだが、ザックの大きさからたぶん日帰り登山だろう。弥山から八経ヶ岳へピストンするとすれば、登山口に戻る頃は暗くなっているかも知れない。そんな余計な心配をしながら、午後4時30分に登山口に着いた。登山口には中型の観光バスが3台ほど待機していた。


   帰路の途中、朝の集合場所の下市温泉明水館に立ち寄り、疲れと汗を流して今日の山行を締めくくった。下市温泉の総支配人も登山好きのおじさんなんです。

 


日    程
   行者還トンネル西口⇒<70分>奥駈出合⇒<25分>⇒弁天の森⇒<20分>⇒聖宝の宿跡⇒<50分>⇒弥山山頂⇒<30分>⇒八経ヶ岳⇒<110分>⇒行者還トンネル西口

 



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