大峰山系

稲村ヶ岳(標高1726m)
 大日山(標高1695m)
  山上ヶ岳
(標高1719m)
  


      登山日 平成19年10月6日(土) 晴れ


  稲村ヶ岳は、山上ヶ岳から西へ延びる支稜上にあり、標高は山上ヶ岳より7m高い1726m。女性禁制の山上ヶ岳に対し、女人大峯として女性に人気の山である。北隣の大日山は大峰のマッターホルンと称され、大日の冬景色を求めて登って来る人は多い。
 今回は、その稲村ヶ岳と鋭い岩峰の大日山を登り、レンゲ辻から山上ヶ岳を登り返して洞辻から五番関へ下るルートを辿った。
   


   
母 公 堂                         母公堂横の登山口

  
  車を五番関トンネル南口に置き、自転車で稲村ヶ岳登山口の母公堂まで下る。母公堂には大峰の開祖と云われている役小角の母が祀られている。
  登り口はお堂の右横にあり、しばらく鬱蒼とした杉林の中を登る。法力峠までは展望もなく単調であるが、約10分で五代松鍾乳洞からの道と合流する。ここから頂上までは5.7km、道は緩やかな登りとなる。


    
五代松鍾乳洞との分岐の道標             法力峠(観音峰との分岐点)

  
  法力峠までは薄暗い植林の中をほぼ一定の勾配の登りが続くが、右側山斜面がやや開け、前方が明るくなって来るとようやく法力峠に到着する。ここは観音峰との分岐点になってる。

  法力峠を過ぎると自然林が多くなり、急な登りもなくてとても爽やかな登山道だ。出発してからすぐに大三輪中学校(桜井市)の登山記念碑が建っている。樹林の合間から三ツ塚、観音峰が見える。


    
自然林の中の登山道                  笹とブナの明るい森


  登山道はよく踏まれて、歩きやすい。法力峠から15〜16分ほど進むと右前方に突出した大日山の岩鋒が見えて来た。
  山腹をトラバースする道は、右側は深い谷になっているが、所々に橋も架けられよく整備されている。
  登るにつれ、徐々に大日山の岩峰が近づいてくる。大峰の美しい森が広がり、山の斜面が一面に笹に覆われてくると間もなく山上辻に到着する。


     
トイレ(手前)と稲村小屋(奥)             逆の方向から見た稲村小屋


  山上辻は山上ヶ岳方面との分岐点であり、稲村小屋と屋根にソーラーパネルが貼られたトイレ棟が建っている。その前の広場にはたくさんの登山者が休憩している。

  ここからは稲村ヶ岳へは約30分のアルバイト。笹原の中を緩やかに登って行くと正面に大日山の岩峰が圧倒的な迫力で立ちはだかる。
 登山道は大日山直下から東側を巻く。雪の多い季節は、この巻き道が最難所となるが、冬季以外は注意は要するがさほど危険な地点でもなく、巻き終わると大日のキレットと呼ばれる場所に着く。


      
前方に迫る大日山       大日山の麓からの山容        大日のキレット
 

 大日山への登頂は後にして、稲村ヶ岳へと向かう。
キレットからは少し険しい登りとなり鎖場が2ヶ所続く。鎖場を過ぎてしばらくすると頂上尾根に上がり、右方向に折れると程なく稲村ヶ岳の山頂に着く。


稲村ヶ岳頂上からの展望

 
(北方向) 山上ヶ岳     地蔵岳  竜ヶ岳 阿弥陀ヶ森   大普賢岳  


       仏生ヶ岳   弥山 八経ヶ岳       頂仙岳     (南方向の展望)


  山頂には三等三角点が埋まっていて、鉄骨の展望台が設置されている。
この日は良く晴れて、展望はほぼ360度。北方向に山上ヶ岳が望め、山上ヶ岳から右曲がりに地蔵岳、阿弥陀ヶ森、大普賢岳、国見岳、七曜岳、南方向に弥山、頂仙岳など大峰の主峰がパノラマで展開する。



   先ほどのキレットまで引き返し、大日山へ登る。直登の急な登りでハシゴや鎖場、岩場が連続するが、特に危険な箇所もない。昔に比べ随分と登り易くなったものだ。約10分で山頂に着く。
  山頂は狭く大日如来を祀る小さなお堂が二つ建っている。展望は木々であまり利かないが、お堂の裏側に回れば素晴らしい展望が開ける。但し、足元は背筋が寒くなるほど切れ落ちている。



       
 難所にはハシゴが設置     急斜面に咲いていたりんどう    背後に稲村ヶ岳が聳える



     
        岩の斜面の鎖場             大日山の山頂(お堂は大日如来を祀る)


 
   稲村小屋が建つ山上辻に戻り、昼食にする。広場のベンチは満員で、二十数名の登山者が食事をしている。
山上辻からレンゲ辻へは、しばらくはほとんど平坦な快適な道で、周囲にはトウヒやブナの深い森が広がる。体に染み付いた大峰そのものの雰囲気をここでも感じる。時々振り返ると、木々の間から稲村ヶ岳と大日山が徐々に遠ざかって行く。


     
       山上辻をレンゲ辻の方へ辿る       山上ヶ岳の日本岩(中央)とお花畑(右側)  


  枯れたブナの幹のに沢山のキノコが生えている。随分前、釈迦ヶ岳の千丈平でテント泊をした時に、近くでテント泊をしていた先客からバターで炒めたこのキノコ(たぶん同じキノコ)を頂いたことがある。少しキノコをもぎ取って、持って帰ることにした。

    山上ヶ岳から来たのだろう、二人の単独登山者とすれ違う。

  念仏山を巻く道から登山道の表情が険しくなり、左手斜面が切れ落ちるルートに変わる。
  足元に気を付けながら進むと、前方に山上ヶ岳が見え出し、やがて女人結界門が建つレンゲ辻に下りる。

  この女人結界門は女人禁制を守る山上ヶ岳に至る各ルート(4ヶ所)にある女人結界門の内の一つで、これから先は文字通り山上ヶ岳への女性の入山は禁止されている。

  女人結界門をくぐり、いよいよ山上ヶ岳への急登に取り付く。
  

  

      
山上ヶ岳への登りルート        岩場の鎖場              中間部の階段
    

 


   険しい岩場の登りが続くが、要所要所にハシゴが設置され危険な所はない。
今日の山歩きの一番汗をかく登りで、途中から息が上がってきた。
  後方のグループから女性の声が聞こえてくる。たぶんレンゲ辻から大峯大橋へ下りるのだろう。
  一旦、緩やかになり、再び急登になる。登るにつれ、背後に稲村ヶ岳がせり上がり、前方に特徴のある日本岩のテラスが近づいてきた。
  
  レンゲ辻から約35分で分岐に着き、一旦日本岩へ立ち寄る。
ここからは、先ほど登った稲村ヶ岳や大峰主峰の弥山、山上ヶ岳の西の覗行場や麓の洞川温泉が見渡せる。



日本岩からの眺め (右手のピークは大天井ヶ岳)


  しばらく展望を楽しんだ後、山上ヶ岳のお花畑の方へ歩く。向こうから数名のグループがやって来た。すれ違う時に男性の後から3人の女性が下を向いたまま黙って通り過ぎて行った。
  これまでも何度かこの女人禁制の山で女性を見たことがあったが、なんとも言えない複雑な気持ちを持ってしまう。

  広いお花畑から一等三角点のある湧出岩、大峯山寺へと周る。すでに大峯山は閉山になっており、白装束の信者は誰もいない。静かな大峯山寺境内である


    
山上ヶ岳山頂のお花畑                   戸閉めされた大峯山寺    



  参道の脇に立つ無数の石塔を見ながらゆっくり下る。信者の叫びや笑いが飛び交う西の覗行場にも誰もいない。
開山中での人とすれ違う毎の「ようお参り」との挨拶を交わすこともなく、ただひたすら五番関への長い参道(登山道)を下るのみである。

      
西の覗行場一帯の岩場や奇岩 (中央は西の覗きの岩壁)    



  山上ヶ岳から約2時間30分、膝に疲れが見えてきた頃ようやく五番関トンネル南口に下りてきた。午後5時。心地よい疲れ、久し振りに山を歩いた感じだ。



行 程

母公堂⇒<45分>⇒法力峠⇒<60分>⇒山上辻⇒<30分>⇒稲村ヶ岳⇒<20分>⇒大日山⇒<20分>⇒山上辻⇒<40分>⇒レンゲ辻⇒<36分>⇒山上ヶ岳(日本岩)⇒<10分>⇒大峯山寺⇒<60分>⇒洞辻⇒<85分>⇒五番関⇒<10分>⇒五番関トンネル



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