北アルプス


北 穂 高 岳

          (標高3106m)


      平成25年9月28日(土) 快晴


北穂高岳は、穂高連峰の最北端に聳える標高3,106mの岩峰で、南は涸沢岳から奥穂高岳へ、北は大キレットを隔てて南岳、中岳、大喰岳、槍ヶ岳へと稜線が続いている。山頂は北峰と南峰に分かれていて、北峰に三角点が埋まる。山頂に建つ北穂高小屋は、日本アルプスで最も高い地に建つ山小屋である。

 一般的な登山道は、涸沢カールから南稜の急登を辿り山頂に至るルートだが、槍ヶ岳から岩稜を南下して大キレットを登り返すルートや白出のコルに建つ穂高山荘から涸沢岳を越えて北穂の山頂に至るルートがある。涸沢から登れば約3時間で山頂に立てる。
今回は、12年ぶりにテント,、シュラフを60リットルのザックに入れ、北穂の山頂を目指すことにした。


横尾大橋

屏風の頭(左)と北穂高岳

本谷橋

自宅を前日の夜9時に出て、沢渡の駐車場で仮眠、朝一番のタクシーで上高地まで上がる。登山届けを済ませ、重いザックを担いで横尾までの11kmを歩く。
途中、明神館横と徳沢で休憩をとり、予定どおり上高地から3時間で横尾に到着。今回の北アルプス登山も朝から快晴で左手に聳える明神岳が真っ青な空に輝いて見える。
横尾は槍ヶ岳と穂高岳への分岐点で、大きな山荘の前の広場では大勢の登山者が休憩を取っている。ここで一息入れたあと梓川に架かる横尾大橋を渡り穂高涸沢へのルートに入る。ようやく登山道らしくなるが、引き続き平坦な道が続く。 左手に屏風岩を見ながらの樹林帯の登山道を辿る。しばらく進み屏風の頭を巻くように進むと、前方に一際高い岩峰の北穂高岳が見え出した。山頂に小さな山小屋がへばり付くように建っている。見るからに登攀意欲が湧いてくる。
平坦な歩きよい道が続き、重いザックも今のところ苦にならない。横尾から歩くこと1時間10分(距離2.8km)で本谷橋に到着。


奥穂高岳を正面に

屏風の頭を振り返る

涸沢までもう一息


本谷橋は横尾と涸沢のほぼ中間点で標高は1780m。沢には吊橋が架かり、河原に大勢の登山者が休憩をしている。絶好の休憩ポイントである。ザックを下ろし、吊橋を行き来する登山者を眺める。前回(12年前)、奥穂高岳に登った時に、ここで休憩を取ったことを思い出す。当時と全く変わらない風景を眺めながら充分に休憩をとる。
いよいよ此処から涸沢への長く急な登り(距離2.4km)が始まる。登山道周辺はシラビソやダケカンバなどの樹林に覆われ、沢の音が聞こえる。時々北穂高岳やその稜線が見える所で休憩をとりながらゆっくりと登る。登るにつれ徐々に足取りが重くなり、ザックの肩紐が肩にくい込む。ザックが軽ければ、涸沢まではそう疲れないのだが・・・と思いながら。何度か休憩をとり、ようやく正面に奥穂高岳の稜線が見えてきた。その麓が涸沢カールだ。


涸沢フュッテから望む北穂高岳(右の頂き)

涸沢岳(左)と北穂高岳

  登山道の右側(沢側)が開けてきて、ゴロゴロした石や岩が谷に埋まった所まで登ってきた。前方の視界がぐっと広がり、懐かしい涸沢カールが近付いてきた。特徴のある涸沢槍も見えてきたが、テント場までまだもう少し距離がありそうだ。この辺りから更にピッチが落ちて、ようやく涸沢フュッテ、涸沢小屋の分岐まで来た。
ルートを左にとり、涸沢フュッテへの石畳のような登山道を登る。分岐から一登りだが、けっこうきつく長く感じられる。分岐から登ること10分、本谷橋から2時間20分かかって、ようやく標高2350mに建つ涸沢フュッテに着いた。展望の良いテラスでザックを下ろす。テラスから前穂高岳、吊尾根、奥穂高岳そして北穂高岳が望め、カールにはカラフルなテントが張られている。カールの紅葉は、まだ1週間ほど先のようで、テントの数も少なめである。

しばらく休憩をとり、テント場に下ってテントを張る場所を探す。比較的空いているので張れる場所は沢山あるが、どこも石や岩がゴロゴロした所で、最適地と思える所は少ない。少々石が出ていてもエアーマットを敷けば苦にならないだろうと適当に場所を決め、テントを張る。

午後3時からテント泊の受付けが始まり、1泊の料金700円を払う。これで大混雑が予想される山小屋を横目に今夜はゆったり寝られる。
夕方近くになると、穂高の稜線にガスが湧き始め、気温も下がってきた。ダウンの上着を羽織り、夜の帳(とばり)が降りる涸沢の風景を眺める。予想したより静かで居心地の良いテントサイトである。
夕食の後、シュラフにもぐっていると、いつしか眠りに着き、そのまま翌朝5時前までぐっすりと寝ることができた。


朝日に照らされた穂高の稜線

北穂高岳へ出発

前穂高岳と眼下に涸沢ヒュッテ

午前5時半ごろから穂高の稜線に朝日が当たり出し、徐々に涸沢カールに賑やかさが戻ってきた。涸沢フュッテのテラスにほ大勢の登山者が朝日に照らされた穂高の風景をカメラに収めている。今日も快晴だ。
朝食を済ませ、アタックザックに水筒とヤッケ、カメラを入れる。午前7時に北穂高岳を目指して出発。背中の荷物は随分軽くなったが、昨日の疲労感は残ったままだ。テントサイトから涸沢小屋に向かって石畳の道を進み、小屋の右横から北穂沢に入る。岩がゴロゴロした急な道で、遥か先に北穂高岳の岩稜が見えている。
ハイマツ帯を登り、益々急になるガラ場を登って行く。振り返ると前穂高岳、眼下にカールが見下ろせ、随分と登ってきたと実感する。


南稜の鎖場

常念岳

涸沢岳を正面に

ガラ場の急登

北穂沢から南稜へ向かう。南稜取り付きのクサリ場、続いて鉄製の長い梯子を登ると南稜の上に着く。奥穂高岳や前穂高岳がパノラマで広がり、背後に常念岳、蝶ヶ岳を望むことができる。
少し休憩を取り雄大な景色を眺む。一旦傾斜が少し緩くなり、足元には草紅葉が広がる。
登りは更に続き、岩がゴロゴロとした急な登山道が伸びている。涸沢岳を正面に見ながら岩場の急登をひたすら登る。やがてルートは右の方へ方向を変え南峰下の岩稜を辿る。再び現れた鎖場を登ると南稜テラスのテント場。ここから北穂高の頂きがはっきりと見える。


南峰を正面に

北穂分岐

北穂分岐からの登り

山頂直下の登り

前穂高岳

南峰越しに望む奥穂高岳

ようやく山頂に到着

程なく道標が立つ北穂分岐に到着。左にとれば涸沢岳から奥穂高岳への縦走ルート、右に進めば北穂高岳の頂上である。北穂分岐から南峰の下を巻いて北峰へ向かう。北峰直下の最後の登り、大きな岩が上から覆い被さってくるように見え、先を登山者は小さく見える。ガラ場の急登を登りきると北穂高の頂上に着く。
山頂はやや広い丸い台地で、360度の展望が広がる。北端に山名を記したプレートが立ち、その向こうに槍ヶ岳の穂先が見えている。涸沢から約3時間40分、
ようやく厳しい登りから解放され、名だたる山々が一望できる素晴らしい眺望に感激する。


北穂高岳山頂

北穂高小屋(右下)と槍ヶ岳

笠ヶ岳

北穂高小屋

テラスから望む槍ヶ岳

南アルプス方向を望む

山頂北側の大キレットを登ってくる登山者もかなり多い。しばらく展望を楽しみ、山頂すぐ下に建つ北穂高山荘のテラスに腰を下ろす。少しまだ昼食の時間には早いが、昼食にする。カレー(1,000円)を注文し、ペットボトルのお茶を買う。テラスから槍ヶ岳や常念岳、前穂高岳、奥穂高岳、眼下に涸沢カールを望みながらの食事は最高である。日本アルプスで最も高い所に建つ山小屋のテラスからの眺めはやはり最高である。いつまで眺めていても全く飽きない風景がここにある。この山頂に辿り着いた者だけが味わえる特別な風景である。


色付き始めた涸沢カール

二日目のテント泊(手前のテント)

偶然にも隣に座っていた女性が、同じ奈良県の人だったこともあり、話が弾む。2時間ほどテラスで展望と会話を楽しみ、下山にかかる。涸沢カールまで下りると、テントの数が随分と増えていた。この日は横尾まで下りる予定であったが、疲れも残ったままなので、2泊目もここで泊まることにした。深夜ふと目が覚めた。テントから顔だけを出して空を見上げると、満天の星がこぼれるほどに輝いていた。

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