二 上 山

           (標高517m)


         平成21年2月8日(日)晴れ



  二上山(にじょうざん)は、奈良県と大阪府を跨ぐ金剛山地の北部に位置し、古来、「ふたかみやま」と呼ばれた。山上には24歳の若さで悲運の最期を遂げた大津皇子の墓がある。またこの一帯は、サヌカイトの産出地で、有史以前に鏃や石斧などの石器が作られた。
  二上山の山容はラクダの背のような形で、標高の高い方が雄岳(517m)、南方の低い方が雌岳(474m)である。歴史に彩られた二上山に落ちる秋の夕陽は、奈良盆地の風景の一つになっている。

  二上山の登山口は、何カ所もあるが、今回は當麻の道の駅を起点に加守神社横から雄岳へ登り、雌岳へ辿るルートを歩くことにした。

道の駅の駐車場から北へ行くと、程なく二上神社口駅からの道と合流し、左へ折れると加守神社に着く。神社の左手から登山道が延びていて、雄岳への登りが始まる。

楢などの雑木に囲まれた登山道はハイキングコースとして適度に手入れされ、歩きやすい。途中、急登混じりの登山道には丸太で土止めした階段が続くが、二上駅からの登山道と合流する地点を過ぎ、明るい尾根に出ると傾斜も徐々に緩くなる。

前方にコンクリートのよう壁が見え出すと雄岳の頂上である。山頂は細長い平らな地形で、東端に御陵がある。天武天皇の死後、皇位継承をめぐって24歳の若さで悲運の最期を遂げた大津皇子が葬られた墓である。「うつそみの人なるわれや明日よりは二上山をいろせとわが見む」と皇子の死を悲しんで詠まれた大来皇女の歌が万葉集に残されている。

山頂台地には豊布都御霊神と大国魂御神を祀る葛城坐二上神社が鎮座している。周囲の展望は木々に覆われてあまり利かない。

南端には、一人の男性が座っていて、登山者に美化協力金として200円を徴収している。協力金を払って雌岳へ向かう。 


      
雄岳と雌岳の鞍部(正面は雄岳)                           雌岳頂上手前の階段を登る


  前方には雌岳の後ろに岩橋山、葛城山、金剛山が重なって見える。雄岳と雌岳の鞍部の馬の背に下る。売店やベンチがあり、祐泉寺へ下る分岐になっている。
  ここから雄岳へは一登りの距離であるが、雌岳から大勢のハイカーが下りてくる。周囲は桜の木が多く植えられ、満開の時期は見応えがある。


     
雌岳から雄岳を望む                               公園のような雌岳山頂


  雌岳山頂は家族連れやハイカーで賑わっている。たくさん設置されているベンチも満員である。雌岳は周囲が開けており、大阪平野や奈良盆地が一望できる。奈良県側では、青垣の山々や大和三山が一望でき、畝傍山の向こうに、音羽山三山の稜線が連なる。

雌岳山頂には大きな日時計やベンチが置かれ、公園のように整備されている。子供たちの良い遊び場になっている。
充分展望を楽しんだ後、下山にかかる。


      
雌岳から竹之内峠方面に下る                        岩屋峠 (直進:竹之内峠 左:祐泉寺へ)

ハイキングコースを岩屋峠から祐泉寺へ下る。先ほどまでの明るい登山道から暗い植林に覆われた細い急な道を下る。祐泉寺で馬の背からの道と合流し、ここから舗装された道を下る。徐々に前方が開け、右手にフナでも釣っているのか、大勢の釣り人がいる池へ下りる。
 

     
祐泉寺前の舗装道と案内板                          ひっそりと立つ三体の石仏 

 

  道端には釣り人のだろう、たくさんの車を横目に見ながらのんびりと歩く。次の大きな池越しに奈良盆地の風景が広がる。池を回り込むように進むと當麻山口神社の鳥居があり、参道の左側にひっそりと建つ傘堂を見る。ここからは、のどかな田園風景を見ながら、出発点の當麻の道の駅に戻った。 


     
池越しに奈良盆地の風景が広がる                         奈良県指定文化財の傘堂



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