大峰山系

 大 所 山(百合ヶ岳)
                標高1,345.8m


       
 琵琶の滝
 


                   平成19年6月17日(日)


  大所山は、大峰山系の大天井ヶ岳と山上ヶ岳間の尾根道(大峯奥駈道)から北方向に派生する支稜上の標高1345.8mの山。山頂はブナ林に覆われ、登った人を魅了するが、分かり難い登山道のため、コースを間違うと悪戦苦闘する山でもある。

  国道169号を橿原から吉野へ南下、川上村の下多古バス停を左折し、下多古集落を突っ切り林道を進む。水汲み場を過ぎて、赤い鳥居のある弁天岩まで来ると、正面にこの日登る大所山が望める。

  登り口がある作業場の広場前には木材のヘリ出し作業のためか、この日はロープが張られていて入れず、道の脇に車を止める。広場を真っ直ぐに進むと琵琶の滝への遊歩道であるが、広場の右手の登り口から杉山を登り、琵琶の滝の近くに下りるコースを辿ることにした。
 

   


   広場手前に建つ作業小屋の左手に大所山(百合ヶ岳)登山口の案内板があり、手入れされた杉山の中に登山道が延びている。以前(平成15年11月)に登った時は、伐採された木が散乱して登り難かったことを覚えているが、今日は頗る登り易い。さすが吉野杉の本場で見事な美林が広がる。
   この地味な山も最近登る人が増えてきたのか、テープもしっかり付けられ、以前無かった「登山道 吉野防犯協会 吉野警察署」の案内板も所々に付けられている。
 
   一旦地道の作業林道に合流してほどなく林道の終点から山道になる。丸太の橋の掛かる涸れた斜滝を右に見て、展望のない植林帯を黙々と登り詰める。
   岩清水や大きな岩を過ぎ、暗い植林帯の上部が明るくなってきたら、ようやく杉の植林帯から桧の幼木帯にわかり、尾根が近付いて来た事を感じるが、ジグザグ道がもうしばらく続く。
   右手に突き出た岩があり、その岩の上に立つと前方が開けて、ピラミダラスな白鬚岳が一際存在感を誇示し、南方に勝負塚山や山上ヶ岳が一望、素晴らしい展望である。背後には大所山の山頂が間近に見える。あと一息で稜線である。

   稜線で尾根道に合流、左(南)に取れば、大所山だが、右手に見えるピークが気にかかり、先にそのピークへ向かう。約6分でピークに着くが、何の人工物も見当たらない。赤いテープがピークを過ぎてもその先に付けられているので、登山道になっていると思われる。

   先ほどの分岐まで戻り、大所山山頂へ詰める。稜線には、ワイヤーが張られていて、右(西方向)側はブナや雑木、左(東方向)側は桧の植林である。右手下方向に木々の合間から高原集落の家々が見える。
   やがて、なだらかな尾根道の周囲は見事なブナ林になり、チョッとした感動的な風景に変わる。左手には白鬚岳が望め、最高の気分で山頂に導かれる。


      
稜線のブナ林                                 大所山山頂
 

   たおやかな山頂には、三等三角点が埋まっていて、大所山と百合ヶ岳のプレートが架かっている。先客が一人食事をされていた。山慣れた方のようで、聞くと、五番関から約3時間でここに辿り着いたそうで、五番関トンネル横に車を置いているのでピストンされるとのこと。
  少し後に、二人連れ(男性)の登山者が琵琶の滝方向から登って来られた。その一人は、山のホームページでよく見かける人だった。

   昼食を済ませ、下山にかかる。しばらくブナ林の道を南方に進む。小さなピークで大峯奥駈道に伸びる稜線と分かれて石楠花の群棲する登山道に入る。しばらく行くと足もとがフカフカした感触になり、樹の根が這った上に腐葉土が乗った岩の痩せ尾根を歩いている感じだ。左側の足もとは垂直に切れ落ちた絶壁になっている。
  そうこうしていると登山道は、突然岩場で前方が切れ落ちている。高さはそう無いのだが、ヘタをすると大怪我をする所である。木の根っ子や岩角を握りながら慎重に下る。この下山コースは、山慣れた人は問題ないが、女性の多い中高年の団体登山には危険度が高く、お奨めできるものではない。この地点からしばらく急な下りが続き、足を踏み滑らないように慎重に下る。
 前回もこのルートを下ったが、その時は、途中から道が分からなくなり、さんざん迷ったあげく、何とか下の周遊道に下りたことを覚えているので、今回はそのときの事が頭にあって、テープを確実に確認しながら下る。

   下るにしたがい、沢の音が近くになる。以前にましてテープが多く付けられているようだ。お陰で、今回は正規のルートを下る事ができた。

   遊歩道に合流して、琵琶の滝を見学するため左方向に折れる。沢伝いに遊歩道が付けられていて、梯子や吊橋が架けられている。徐々に道が険しくなり山の斜面をへつるようになると、琵琶の滝は目の前で、周囲に豪快な音が響く。

   滝の正面に東屋が建っていて、展望台になっている。2段落差50mの見事な滝である。東屋から更に道が上に延びているが、脇に看板が立っていて、「遭難捜索費100 ・200万円、あなた持ち」と記されている。なかなか粋な注意書きであるが、此処まで来てトコトコと引き返す人はいないだろう。
  滝壷に下りるには、この道を少し登って、途中から右に下る道が付いている。前々日雨で水かさも多く、豪快に落ちている。


   しばらく休憩して、元の道を引き返す。車を置いた広場前所まで戻って、汗で濡れたシャツを着替え終わったら、雨がポツポツと落ちてきた。先ほど登った大所山の山頂は、雲がかかり始めていた。


   時間にまだ余裕があるので、そのまま入波(しおのは)温泉まで車を走らせる。日曜日というのに、五色湯は空いていて、ゆっくりと汗を流して、帰路についた。

   紅葉の時季に、五番関から大所山へ歩いて見よう。





行 程

  作業場広場(登山口)⇒稜線⇒無名のピーク⇒大所山山頂⇒ロープ場⇒滝への遊歩道⇒琵琶の滝⇒作業場広場







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