台高山脈支稜


    し  ら  ひ  げ  だ  け
 白鬚岳(標高1378m)


 平成20年4月26日(土) 晴れ


   白鬚岳は、台高山脈の支稜にある尖峰で、けっして派手では無いが、山歩きの魅力を堪能できる渋い山として印象に残る秀山である。またこの山は今西錦司氏の1500山目の記念の山でもある。しばらく登る機会がなかったが、山仲間のIさんを誘って8年ぶり(4回目)に登ることにした。

  橿原市から国道169号を南下、吉野郡川上村上多古の吉野川に架かる橋を渡り、神之谷から東の谷出合まで進める。
  東谷・白鬚岳林道の入り口に車を止め、ここから白鬚岳を目指す。林道入口には「クマ出没注意」と「冒険より安全登山を」と記された看板が立っている。
  山仕度を済ませ、見事に手入れされた吉野杉を眺めながら林道を進む。10分ほど歩くと林道は終点になり、右手の沢を渡り沢沿いの山道に取り付く。
  


       
東の谷出合(ここから林道歩き)                         吉野杉に囲まれた林道を詰める


  樹齢60〜80年の立派に成長した杉の植林帯の中の登っていくと、落差20mほどの滝が正面に現れ、一息着く。
滝を左に巻き、最後の水場と書かれたプレートがある大きな岩を過ぎる。徐々に傾斜を増す九十九折れの登山道をひたすら登る。足元には可憐な「一人静」が小さな白い花を付けている。


  
登山道途中にある滝          ひっそりと咲く一人静(ひとりしずか)         神之谷コースとの合流点


  勾配も更にきつくなり、大量の汗が吹き出る。ようやく神之谷集落からの登山道と合流し、尾根を右へ折れる。尾根道は、少しは楽になるだろうと期待するが、待っているのは、さらに急な岩場混じりの登り。
所々の岩場の急登には、補助ロープが付けられ、何時しか深山の雰囲気と変化のあるコースに登る楽しみが増してくる。


   
手前の小白鬚岳へのルートは更に急な岩場混じりの急登で補助ロープも何箇所か設置されている。


  山の斜面には満開の山桜や白い花のコブシがあちこちに見られる。
左手が開け、遠くに天を突すような山容の白鬚岳が見え出した。背後には大峰山系や白屋岳などが展開する。



       
小白鬚岳の手前から望む白鬚岳                        急登を終えると小白鬚岳に着く 


   ようやく、周囲が明るくなり、広い台地上の小白鬚岳へ着いた。山名と標高1282mのプレートが架かっている。
北西面が伐採されていて、白屋岳を中心とする山並みや眼下の山の斜面に集落が望める。
  一息入れていると、白鬚岳から一人の男性が下ってきた。大阪から来たそうで、年に2回はこの山に登っていると言う。
白鬚岳へはいったん下り、直ぐに痩せ尾根に変わる。
  小白鬚岳から白鬚岳へは小1時間程度の距離に見えるが、実際は痩せ尾根のアップダウンの繰り返しで、思った以上に時間がかかる。行く手の木々の合間から白鬚岳が見えるようになる。山頂手前のピークからは、槍ヶ岳のような山容の白鬚岳が正面に構えている。背後に先ほどの小白鬚岳が端正なな三角錐の山容を見せている。


         
小白鬚岳山頂(標高1282m)                           一つ手前のピークから望む白鬚岳


 最後の急登を登り切ると、二等三角点が埋まる山頂に着いた。三角点のすぐ傍には今西錦司氏の記念碑が立っている。御影石の記念碑は20年ほど前に据えられたようだが、表面はとても綺麗で、苔や汚れも付いていない。多分、今西先生を慕う人たちが、遥々ここを訪れ、記念碑を綺麗に磨いているのだろう。
  先客の単独行の男性は、北股川から登ってきたそうで、今夜は途中でテント泊をして台高山脈の池木屋山まで行くとのこと。


     
やせ尾根の最後の登り(右後ろは小白鬚岳)               白鬚岳山頂(中央は今西錦司氏の記念碑)


  今日は、天気が頗るよく、南方の見晴らしが良い。南方に台高山脈、大普賢岳から大峰山脈、西方向に白屋岳の稜線がパノラマで展開する。

山頂の一角に腰を下ろし、展望を眺めながら昼食にする。

  しばらくして若い男性が登ってきた。東谷出合から3時間で登って来たそうだ。彼は、5月の連休に友人と大峰山系の弥山へ弥山川(双門コース)を登るための足慣らしに来たと言う。彼とはずいぶん話し込んだ。


     
南方に望む大普賢岳(中央)                      小白鬚岳と背後の山並みは大峰山系


  山頂で1時間ほど休憩して下山にかかる。岩稜混じりのやせ尾根のアップダウンを慎重に下りる。背後に遠ざかる白鬚岳に別れを惜しむように何度も振り返える。

  

  
白鬚岳の山頂を辞し、元のルートを小白鬚岳へと下る。


  白鬚岳は特別高い山でも、また知名度の高い山でもない。しかもコースの半分以上は人工林に囲まれた展望のないルートである。しかし、尾根に合流してから小白鬚岳への変化の富んだ急登と眼前に迫る鋭いピークへの誘いが、辿り付いた山頂での広々とした展望と心地よい疲れとが重なって、何ともいえない満足感として残る。
  久しぶりに登った白鬚岳は、やはり登り応えのある秀山で、一言で言うなれば「実に渋い山」である。大汗をかいた充実した山行きであった。

    

 
     行 程
 (休憩含まず)

       東谷出合⇒<12分>⇒林道終点⇒<20分>⇒滝⇒<60分>⇒稜線⇒<25分>⇒

           ⇒小白鬚岳⇒<63分>⇒ 白鬚岳⇒<50分>⇒ 小白鬚岳⇒<100分>⇒東谷出合
        

 

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