大峰山系前衛

 佛ヶ峰から白倉山

     (標高582m)    (標高610m)

 

     登山日 平成2115日(日)快晴


  白倉山と佛ヶ峰は奈良県の吉野町と川上村の町村境界に連なる地味な山で登る人も限られている。今回辿るルートの登山口には名瀑蜻蛉の滝、下山地には匠の聚があり、両山の麓は川上村の観光スポットとなっている。

以前(平成15年)に同じルートで白倉山へ登ろうとしたが、途中の旧吉野街道出合の先で道が分からなくなって引き返したことがあり、今回はそのリベンジとなった。

  橿原市から国道169号を南下、大淀町で同僚2人を乗せる。五社トンネルを抜けてすぐ右折、川上村あきつの小野スポーツ公園に着く。グラウンドの駐車場に車を置き音無川に架かる小さな橋を渡りと枝垂れ桜が見事なあきつの小野公園。鳥居を潜り蜻蛉の滝へと続く石段を上る。
  登るにつれ沢の音が段々大きくなってくる。5分ほどで蜻蛉の滝展望所に着く。一昨日来の大雨で滝の水量は普段より多く豪快に落ちている。東屋から螺旋階段で下りて高さ50m余の迫力ある滝を眺める。

 


  
音無川の桜の公園               蜻蛉(せいれい)の滝へ          蜻蛉の滝から周遊コースへ

 東屋に戻り、不動堂左横の石段を上がり音無川に沿って青根ヶ峰へと続く周遊コースを登る。
 途中にある白倉山分岐を右折して旧吉野街道出合を目指す。登山道は徐々に険しくなり岩壁や山の急斜面をハツるように付けられた細い道を登ると聖天の窟の前に出る。赤い鉄格子で閉じられた真っ暗な窟の中を覗くと、奥に丸い鏡が外光を反射して光っている。以前ここを訪れた時は講の人(信者)が掃除をしていたが今日は誰もいない。


  
急斜面の岩壁横をハツる        聖天(しょうてん)の窟        鉄の階段が上に延びる


  聖天の窟から左側が切れ落ちた急斜面を慎重に進み、幾つかの鉄製の階段を越えると尾根道になる。古い道標が所々に設置されている。展望はあまり利かないが南方に大滝ダムの堰堤、その背後には白屋岳
(標高1,117)が聳えている。登山道の周囲は杉の植林帯だがよく踏まれた道で迷うことがない。登るにつれ左手前方に吉野山から延びる大峰山系の尾根が遠方に続いている。
 急登の尾根道を登ると傾斜も緩くなって旧吉野街道出合に着いた。古びた道標と朽ちかけた木のベンチがこの道の歴史を語っているようだ。

  
ウラジロの群生地               杉の植林帯を登る                 旧吉野街道出合


 旧吉野街道出合で右へ折れ、植林帯を緩く下っていく。伐採された枝や倒木で道が分かり難い。先の分岐から15分ほど下っただろうか。急に道が不明瞭になり、ルートが分からなくなった。以前と違い今日は3人の登山であるが、それぞれに辺りを探してもやはり登山道は分からない。(前回もここで分からなくなった)
引き返すのはチョッと情けないので、左手の尾根まで強引に登ることにした。ひょっとしたら尾根上に別の道が付いているかもしれないと思ったからである。


  
道を見失い尾根まで直登             何も無い尾根のピーク              尾根は檜の人工林


  一帯は急斜面の杉の植林地で、所々に大きな岩が突き出ている。登り易すそうなルートを探しながらガリガリと尾根を目指して登る。尾根に着くと運良く微かな踏みあとが付いている。すぐそばのピークへ登ったが三角点も山名のプレートもない。ここから北方向に尾根を外さないように進む。周囲は檜の植林帯で展望は無い。少し行くとかなり以前に巻かれたと思われる赤いテープを見つける。小さな起伏を越えて尾根づたいに進むと緩い下り道で前方がやや明るくなっている。暗い植林帯から正面が急に開け、竜門ヶ岳や烏の塒屋(からすのとや)山が望める・・・・が、尾根が麓に向かって落ちて行き、前方にはこれから辿る筈の佛ヶ峰や白倉山の姿は見られない。

 どうやら違う尾根に歩いて来たようだ。赤いテープはそのまま前方に続いているので、登山道になっているのは確かだ。地図を忘れて来たことを後悔する。元のルートを引き返す。2〜300mほど戻ると東斜面にまっすぐ下に下れそうな植林の境界地が目についた。ここを下ると、本来の道に合流するかもしれない。



王峠の道標             王峠から佛ヶ峰へ           佛ヶ峰頂上手前

 急な傾斜を木の幹を掴んで下る。下り切った鞍部でややしっかりした道が交差している。道端には道標が倒れていて樫尾(かしお)と記されている。どうやら王峠のようだ。王峠を跨ぎそのまま次の尾根に取り付く。獣除けのフェンスと植林の間の斜面を登る。結構登りが続いているが登り切ると佛ヶ峰であった。幾つかの私製のプレートが架かっているだけの静かな山頂である。ここで初めてゆっくりと腰を下ろす。


  
佛ヶ峰頂上             佛ヶ峰から社峠へ下る         次のピークを右へ 


  佛ヶ峰からテープを頼りに下る。再び林道のような道が交差する広い鞍部に下りた。ここからまた稜線を登り更に登り返して鉄塔の立つピークに着く。右下には西河の集落が木々の合間から見え、車の騒音が聞こえる。鉄塔のあるピークを下ると見覚えのある神社の建物が下方に見えて、川上鹿塩(かしお)神社に辿り着いた。簡易舗装された細い道を登り本殿に参拝する。本殿の右横に白倉山への案内板を確認して急坂を登る。白倉山の方へTVの同軸ケーブルが延びている。登るにつれ右側は切れ落ち、木々の間から西河の集落が見下ろせる。


   
五社峠に建つ川上鹿塩神社             川上鹿塩神社本殿           登山道から西河集落を見下ろす


 急登を登り切ると波津からの登山道と合流して小さな三角点が埋まる白倉山頂上に着いた。三角点のある所は展望も余り利かないのでそのまま通り過ぎて直ぐ南にある展望台へ進む。TV中継アンテナ塔が立つ所が展望台である。南方向には台高山脈や大峰山脈の山々が連なっている。眼下に吉野川が蛇行しながら流れ、川に沿って西河や大滝の民家が連なっている。ようやくここで昼食にする。


 
白倉山(標高582m) の三角点と尾根伝いに歩いていた佛ヶ峰の稜線 (右遠方の山は金剛・葛城山)  


  
白倉山展望台                  雪を被る台高山脈               大台ヶ原方面を望む


  下山は東川(うのがわ)の匠の聚へ下る。白倉山頂上まで戻りよく踏まれた稜線を下ると東屋があった。途中で大木が登山道を塞ぐように倒れている。ずいぶん前の台風の傷跡と思われるが、その後もそのまま放置されている。白玉弁財天と山ノ神の祠を過ぎると程なく白倉山登山口と記された車道に下りた。


  
白玉弁財天を祀る祠         「匠の聚」近くの登山口          国道169号と白倉山


  時間に余裕があったため『匠の聚』へ立ち寄って芸術家の作品を鑑賞する。ここから車道を歩き、車を置いた蜻蛉の滝入り口の駐車場まで歩く。途中、西河集落の国道脇を歩きながら右手すぐ横の切り立った白倉山を見上げる。今日は山中、誰一人出会わない静かな山行だった。

 



行程
(休憩時間含まず)

あきつの小野公園駐車場→<5分>→蜻蛉の滝→<10分>→聖天の窟→<45分>→旧吉野街道出合→<15分>→登山道を見失った所→<10分>→尾根→<40分>→王峠→<55分>→佛ヶ峰頂上→<35分>→川上鹿塩神社→<15分>→白倉山(展望台)→<25分>→匠の聚→<35分>→あきつの小野公園駐車場



表紙に戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送