玉置山（標高1076ｍ）

　 宝冠の森（標高1057ｍ）

　　                      平成19年11月24日（土）快晴

　 玉置山（奈良県吉野郡十津川村）は、吉野から熊野に至る大峰山系の一峰で、標高1076ｍ。別名「沖見岳」と呼ばれ、晴天の日には熊野の山々と熊野灘が見渡すことが出来る。山頂すぐ下には、「熊野三山の奥の宮」である玉置神社が鎮座する。
　今回は、職場の山仲間２人と一等三角点が埋まる玉置山に登り、玉置山山頂から南東へ尾根伝いに辿り、大峯奥駈の行場の一つである宝冠の森まで歩くことにした。

　 橿原市から南に国道169号、国道309号、県道下市宗桧線、国道168号を乗り継ぎ、十津川村折立から玉置神社へ車を走らせる。
玉置神社手前の駐車場に車を止め、少し戻った所にある登山口から玉置山へ向かう。
　 登山道は整備された気持ちの良い道で、足元には笹が生え、周囲はブナやミズナラ、馬酔木、リョウブなどの雑木が多く見られる。登山道は、最初ほぼ真っ直ぐに伸び、やがて右にカーブしアンテナ塔の下をまで来ると程なく山頂に着く。

 　　
駐車場手前の登山口（左手を登る）　　　　　　　　　　　　　笹と雑木の登山道を行く　　　

　 あまり広いとは言えない山頂だが、一等三角点が埋まっていて、南方には熊野の山々が望むことができる。今日は晴天だが、海は霞んであいにく見えない。東側には稜線が延びていて、２〜３のピークが望める。これから辿る宝冠の森は、その２つ目のピークの向こう側にあって見えない。

 　　
玉置山山頂　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　勧業山の碑
 

　 休憩もそこそこに宝冠の森を目指す。しばらく東方向に延びる細い登山道を下る。約８分で勧業山の碑が立てられてる辻に下りる。ここは花折塚と玉置神社の分岐点になっている。

　 そのまま、登山道を直進して最初のピークを緩やかに登る。道の周囲は自然林で、足元にはたくさんのどんぐりが落ちている。
人影のない静かな登山道に、落ち葉を踏む乾いた音だけが聞こえる。
　 ２つ目のピークで休憩を取り、いよいよ難所の鎖場を下る。以前からある古い鎖に加え、新しい鎖が付け加えられている。
　 ほぼ垂直に落ち込む岩場では一人づつ慎重に下る。鞍部からの登り返しも鎖場である。難所を越えると、徐々にやせ尾根になるが、周囲の森は一層深くなる感じだ。

 　　
難所の鎖場（写真は鞍部まで下っているところ）

　 小さなピークから前方にこんもりとした岩峰が聳える。玉置山から４つ目のピークが宝冠の森で、その向こう側に三重の山々が連なっている。最後の斜面を登りきると、岩がゴロゴロしたピークに辿り付いた。山頂は鬱蒼とした森に囲まれている。

 　 
宝冠の森越しに三重の山々を望む　　　　　　　　　　　　　　　　　宝冠の森

　 
　 宝冠の森は、大峯奥駈道から少し外れているが、奥駈最後の行場となっている。広いとは言えない山頂には、ちょっとした広場のようなスペースがあり、山伏による行が取り行われる聖地である。
　 ピークから少し進むと突然前方が開け、その先は足元が切れている。ここからの展望はすこぶる良く、左側に笠捨山や西ノ峰、正面に瀞峡の屈曲した流れ、その向こうに熊野の山々が連なっている。

 
宝冠の森からの展望（中央は瀞八丁）
 

　 昼食を済ませ、来た道を玉置山手前の勧業山の碑まで引き返す。ここから道標に従い、左の下り道を玉置神社へ辿る。

　 雑木の斜面から大きな杉の木が現れ出すと、程なく玉置神社に下り立つ。

　 玉置神社は崇神天皇時代の創建と云われるほど古く、古来熊野三山の奥宮であり、十津川郷の総鎮守としての性格も有し崇敬されてきた。後白河天皇（1127〜92）が御幸したという記録が残されている。

　 古来より神社一帯の山に斧を入れることが禁じられた。御神木の神代杉（写真右：樹齢1000年以上）をはじめとする巨杉群（県天然記念物）がこの神社の歴史の重みを感じる。


　大峯奥駈道（逆峯）は、玉置神社からは大森山、五大尊岳、大黒天岳、吹越山、七越峯を越え、熊野川を渡って奥駈け最終の地本宮大社に到達する。

　 吉野川六田の柳の宿の水垢離（みずごり）から始まる100ｋｍ以上にもおよぶ大峯峯中の山岳修行の祈りの道は、熊野本宮大社でようやく全行程を終えることとなる。
　　　　

　 この大峰山系を縦走する大峯奥駈道は平成16年に世界文化遺産に登録された。

　    
　玉置神社の裏に下り立つ　　　　　　　　　　　　　　　　　　玉置神社本殿 
 

行　程

玉置神社駐車場→＜15分＞→玉置山→＜８分＞→勧業山の碑→＜30分＞→鎖場→＜25分＞→宝冠の森→＜40分＞→勧業山の碑→＜12分＞→玉置山神社→＜15分＞→玉置山駐車場

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