北アルプス


     つばくろだけ
 燕 岳(標高2763m)


                       平成20年9月24日 快晴


  燕岳は、北アルプスのほぼ中央部にあって、中房温泉から北アルプス三大急登の一つと言われている合戦尾根を登り切った稜線上にある。花崗岩でできた独特の山容で、白(花崗岩)と緑(ハイマツ)のコントラストが素晴らしく、また岩塔がオブジェとなった魅力に富んだ山である。北アルプスのシンボル槍ヶ岳へ通じる表銀座コースの途中にあり、また高山植物の女王と言われるコマクサの群生でもよく知られている人気の山でもある。

  登山口は標高1462mの中房温泉で、この登山道入口から稜線に建つ燕山荘まで標高差は約1,240m(所要時間4時間30分)。
北アルプス三大急登の一つとガイドブックに記されているため、早々にバテないようにゆっくりしたペースで登ることにする。登山道周辺は鬱蒼とした針葉樹の森で、ガスに包まれて少し幻想的だ。


             
登山入り口の中房温泉へ                                                 しばらく針葉樹林帯を登る

  いきなりの急登を一歩一歩ゆっくり登り、約35分で最初の休憩ポイントの第1ベンチに着く。ベンチの右側を少し降りたところに水場があり、水を補給する。

  第1ベンチから第2ベンチ(標高1,820m)まで同じような登りが続く。このコースにはちょうど良い距離(約30分毎)に休憩地が設けられ、ゆっくり登って行けばバテることなく登れそうだ。

  第3ベンチで休憩を取っていると、家族連れが下りてきた。小さな男の子が父親の手にひかれて歩いている。おばあさんと思しき方に聞いてみると、なんと3歳と5歳のお孫さんとのこと。この急坂を燕岳まで登ってきたことに感心してしまった。
  第3ベンチから更に急登が続く。いつの間にかガスが晴れ、所々で視界が開けて周辺の山々が見えて来た。麓の安曇野方向には見事な雲海が広がり、頭上には爽やかな青空が広がる。やがて、富士見ベンチに着いた。


            
針葉樹林に囲まれた第3ベンチ                              富士見ベンチからの展望(中央は富士山)


  やや狭い休憩地だが、名のとおりベンチから雲海を突き抜けて聳える富士山が望める。このコースは、実に良い地点に休憩地があり、大勢の人数でも座れるベンチが設置されている。お陰で長く続く登り道でも、あまり苦にならない。

  10分ほど休憩して次の休憩地の合戦小屋を目指す。途中、索道の横を登る。この索道は合戦小屋への荷揚げ用のようだ。花崗岩の大きな岩塊の登山道を登って行く。左手後方には常念岳支稜の稜線が見える。随分上がってきた雰囲気で、心が急く。

  深い樹林帯からようやくぬけ、所々で展望が開けて周囲は紅葉した木々が見られる。ナナカマドが多くなると、ようやく合戦小屋に到着。小屋の敷地内には沢山のベンチとトイレがが設けられ、小屋ではホットコーヒーやそば、うどんなどが食べられる。

  ベンチに腰掛け、コーヒーを湧かしてやや長い休憩タイムにする。小屋の人の話では、「ここからは幾分緩やかになる」とのことで少々ほっとする。合戦小屋の標高は2,350m、登山口から2時間40分で約900m登ってきたことになる。燕山荘まであと1時間余りか。


            
うどんの看板がある合戦小屋(標高2363m)                                                    合戦小屋から先は紅葉が映える

  
  合戦小屋からは真っ青な空に紅葉が映えて、ついついカメラを向けたくなり歩くペースが落ちる。大天井岳の右背後に槍ヶ岳が見え出した。森林限界を越えてからは、見事な展望と黄、赤、青、緑のコントラストに目を見張る。
  合戦沢の頭(標高2489m)には三角点が埋まっていて、ここから前方稜線に赤い屋根の燕山荘が見え出した。登山道も緩やかになり一歩一歩と燕山荘にが近付いていく。山小屋から燕岳に延びる稜線はアルペン的で神々しくもある。


             
合戦沢の頭からの緩やかな登山道                           稜線に建つ燕山荘と最後の登り


  疲れがピークに達したころ、ようやく長い登りから開放された。最後の階段を登り切ると、右手に槍ヶ岳が綺麗に望める燕山荘に辿り着いた。立派な構えの山小屋である。玄関前のテラスからは、北アルプスの主峰槍ヶ岳や奥穂高岳を始め、立山、剣岳、白馬連峰、そして遥か富士山、南アルプス、八ヶ岳、妙高など360度のダイナミックな眺望が広がる。
  北側には崗岩とハイマツのコントラストが綺麗な燕岳が目の前の聳えている。暫くベンチに座って展望を楽しむ。槍ヶ岳を眺めながら昼食、至福の時である。




燕山荘(えんざんそう)と槍ヶ岳(右手)


  燕山荘の裏側(南側)にまわると、そこから南方向に稜線が延び、大天井岳を分岐として常念岳から蝶ヶ岳、そして槍ヶ岳へ通じる表銀座縦走コースが脈々と続いている。



中央の大天井岳から左に常念岳へ、右に槍ヶ岳への表銀座コース


 燕山荘で宿泊の手続きを済ませ、ザックを軽くして燕岳山頂を目指す。燕山荘から燕岳の稜線一帯は、白い花崗岩と緑のハイマツが見事なコントラストをなし、更に自然が花崗岩の奇異なオブジェを形成して特異な景観を造っている。
  花崗岩の風化した白砂はとても崩りやすいため、勾配の急な所には、ハシゴが掛けられている。山頂までは約30分のアルバイト。比較的なだらかな傾斜の登山道を登る。
  山頂手前は、短い距離だがちょっとした岩登りをして登頂。燕岳の山頂に立って再び素晴らしい展望を楽しむ。ここからは標高700m以上の山が94座も見えるとのことだが、好天に恵まれて最高の展望を満喫する。
 
 

  
燕岳 (燕岳の背後には立山


          
  イルカ岩と槍ヶ岳                          燕岳山頂 (標高2763m) 


         
北燕岳の花崗岩のオブジェと展望                          歩き易い燕岳・燕山荘間の稜線 

  北側すぐ隣には北燕岳が連なっている。短時間で辿れそうだから足を延ばす。色んな奇岩が樹立して全く飽きることがない。
  燕山荘にもどり、夕食までの間を利用して明朝大天井岳まで行く準備をする。片道3時間余りで辿れそうだから、アタックザックにレインコートとお茶、軽食のみを詰め替える。夕食は午後6時、この日の宿泊人数は4〜50人程度で随分空いている。

  この山小屋は料理も良いし、スタッフも礼儀よく親切である。建物の造りも随分贅沢に建てられている感じだ。人気の山小屋の一つと聞いているが、全くそのとおりである。
 食堂の薄型大画面のテレビで明日の天気予報を見る。「曇りのち雨・・・」かぁ−! 
  陽が徐々に暮れ、槍ヶ岳稜線に帳(とばり)が降りる。下界の安曇野の夜景が綺麗だ。

  明朝5時に起床。上空には黒い厚い雲がかかっている。かなりきつい風も吹き、寒い。小雨もパラパラではあるが降っている。大天井岳行きは諦め下山することにした。「山はいつも其処にある。いつでも来れる」。今度はぜひコマクサが咲く時期に訪れたいものである。
 中房温泉に下山して国民宿舎有明荘の温泉に浸かる。時間はたっぷりとある。長野市の善光寺にお参りして帰路に着いた。


 その他の写真(写真をクリックすると大きくなります)


青空と紅葉

燕岳稜線

安曇野方面

稜線に槍ヶ岳が

燕岳と北燕岳

燕岳の斜面

燕 山 荘

燕山荘を振り返る

燕  岳

樹立する奇岩

燕岳に立つ仲間

ハイマツと草紅葉

北燕岳のオベリスク

燕岳の背後に剱岳が

イルカ岩



行 程


  中房温泉登山道入口→<35分>→第1ベンチ→<28分>→第2ベンチ→<35分>→第3ベンチ→<30分>→富士見ベンチ→<25分>→合戦小屋→<23分>→合戦沢の頭<45分>→燕山荘<30分>→燕岳山頂<10分>→北燕岳<40分>→燕山荘



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